今、世界中150以上の国々で、大道芸フェスティバルが開催され、多くの人を集めています。そしてそこで、人々を最も多く集め、心を捉えるパフォーマンスには共通点があります。それは、怪異、物の怪があらわれ、又それを表現するパフォーマンスなのです。これには、人種、民族、宗教、国家に係らず多くの人を集めています。みんな妖怪変化が大好きなのです。三茶de大道芸にも第一回のオルストラート(仏)以来最近おなじみのダークラクー(仏)まで得体のしれない物の怪が毎回スペシャルゲストとして出演し、多くの人々の心をときめかせ、大成功してきました。私は、最近、大道芸とは何なんだろうとよく考えるのですが、大道芸の魅力の根源はここにあるのだと気がつきました。
250万年前、アフリカにいたアウストラロピテクスは人類の祖先として、道具を残し、壁画を残しました。その絵は何とも得体の知れない妖怪としか思えないものです。その他、先史時代の壁画はほとんど怪物です。なぜなら、人々は、恐れるものを絵にし、神としてそれを祈ったのでしょう。人は、今でも闇の中にいると、何やら得体の知れない妖怪を見たりすることがあります。それは目で見るのではなく、心に浮かんだ映像が現れるのです。それは太古の人々と何も変わらないのです。大道芸フェスティバルで目の前に怪異、物の怪があらわれた時、人々は太古の人々と同じ怖れと、興味に惹きつけられてしまうのです。
同じ心と、同じ風の中で太古の人々と、現代の私たちが、感動を共有しているとしたら、何と素晴らしいことでしょう。今年も三茶de大道芸には心やさしい怪異、物の怪がたくさん登場します。三軒茶屋の街と三茶de大道芸に太古の風が吹くのです。